饗宴外交の舞台裏 (51)

居酒屋「権八」はなぜ選ばれたのか

執筆者:西川恵 2002年4月号
エリア: 北米 アジア

 来日中のブッシュ米大統領が小泉純一郎首相と東京・西麻布の居酒屋「権八」で夕食をとったとのニュースが伝わったとき、私が所属する新聞社のセクションでは誰一人、この居酒屋を知らなかった。 私も不案内だったが、時折、仲間と行っているエスニックの「モンスーンカフェ」と同じ「グローバルダイニング」の傘下にあると聞いておおよそ見当がついた。料理と値段のコストパフォーマンスが良く、サービスは行き届き、雰囲気も洒落ている。「あの系列のところなら両首脳の夕食の場として面白いだろう」と思わせた。 グローバルダイニングは、アジア、メキシコ、イタリア料理とさまざまな業態の外食産業を、日本ばかりか米国でも展開している。団塊の世代である社長の長谷川耕造氏は「昇給の自己申告制」「全員の給与明細、会議の情報公開」といったシステムを取り入れた独特の経営哲学で知られている。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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