「将来の戦争」について検討を重ねるゲラシモフ参謀総長(前列右)(ロシア国防省ホームページより)

 

 米軍が進める将来戦構想「第3オフセット」については、前回(2018年4月16日「米中が鎬を削るドローン『スウォーム戦略』」)で簡単に触れた。先端技術力を活かして新たな戦闘の様態を生み出し、中露の在来型軍事力を「オフセット(相殺)」しようとする戦略である。

 問題は、こうした戦略の「標的」であるロシアだ。現在のロシアは軍事大国としての存在感を示しているものの、それは特殊部隊や民兵を組み合わせたローテクの「ハイブリッド戦争」や、古典的な核抑止、そして米国のハイテク戦力を妨害する能力によるところが大きい。今後、米軍の「第3オフセット」が本格化していけば、ロシアがこれに完全に追随することは困難であろう。

 参考までに述べれば、世界技術革新力ランキングでロシアは第45位(第1位はスイスで、日本は第14位)、GDP(国内総生産)ランキングでは世界第11~13位というところに過ぎない。科学技術力でも経済力でも、ロシアは世界のトップ争いから完全に立ち遅れている。

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