シンガポールで6月1日から3日にかけて開かれているシャングリラ対話(IISS Shangri-La Dialogue;英シンクタンクIISSが主催して毎年シンガポールのシャングリラ・ホテルで開かれ、各国首脳が安全保障問題を公開の場で議論する会議;「アジア安全保障サミット」とも称される)の今年の主要なテーマは「インド太平洋戦略」である。そのためか、開幕ディナーの基調講演はインドのモディ首相に割り振られた。最も注目されるのは(本日)6月2日朝のマティス米国防長官による「インド太平洋戦略」に関する演説である。

インド太平洋戦略は、日本外交の主要な柱でもある。「自由で開かれたインド太平洋戦略」として外務省の「外交6本柱」の1つに位置づけられており、これについて米国やインド、そしてオーストラリアや中国や東南アジア諸国がどのような反応を示すかは、専門家の間で注目の的となっている。

しかし日本であれ米国であれ、「インド太平洋戦略」を語る時に、イランの話がなぜか除外されがちなことは気になる。

特に日本では、インドに接近する時は「対中包囲網」という近場の発想が付いて周り、肝心の広大なインド洋海域の主要勢力に対する目配りが欠如しがちである。

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