オウム「大量刑死」と時代の終わりの「空気」

関川夏央原作・谷口ジロー作画『『坊っちゃん』の時代』

執筆者:高井浩章2018年7月27日

 7月6日、麻原彰晃こと松本智津夫を含む一連のオウム事件に関与した7人の死刑が執行され、同26日にはさらに6人が処刑された。ニュースを耳にして私の脳裏をよぎったのは、「大逆事件」だった。無論、凄惨なテロ事件と「主義者」一掃を狙ったフレームアップ(でっち上げ)はまったく別モノだが、「時代の終わり」の大量刑死という連想が働いたのだ。

 近代日本の転換点、大逆事件とその時代の「空気」を描き切った傑作が、関川夏央原作・谷口ジロー作画の『『坊っちゃん』の時代』だ。大逆事件は5部シリーズの第4部『明治流星雨』で描かれる。

 事件を少しおさらいしておこう。

 明治43年(1910年)、宮下太吉、管野スガ(筆名須賀子)ら社会主義・無政府主義者4人が、稚拙な明治天皇暗殺計画の発覚によって逮捕された。当局はこれを「主義者」一掃の好機と見て幸徳秋水らを謀議に加わったとして強引に連座させ、一審のみの非公開裁判で24人に死刑判決を下し、明治44年1月24、25日の両日に12人が一斉に処刑された。翌45年7月に明治が幕を閉じる直前の出来事だった。

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