『The Rage The Vicious Circle of Islamist and Far Right Extremism』の著者、ジュリア・エブナー氏のFacebookページ
 

 

 イスラム主義やイスラム過激派と、右翼ポピュリズムやナショナリズムは、欧州社会で厳しく対立する存在でありながら、分断社会を希求する点で極めて似通った将来像を描いている――。2018年6月21日付本欄「『欧州ポピュリズム』と『イスラム過激派』が重なる『分断』というキーワード」で、私はそう報告した。これは、南仏ニースを訪ねてイスラム過激派テロの現場を歩き、欧州各国の右翼政党の集会を取材したうえでの私的な感想だったが、同じような認識は次第に、専門家の間でも広がりつつあるようだ。

 

 両者の具体的な類似性を報告し、学問的な検証も加えた書物が、昨年英国で出版された。ジュリア・エブナー著『憤激 イスラム主義と右翼過激派の邪悪な連関』(The Rage The Vicious Circle of Islamist and Far Right Extremism、未邦訳)である。ドイツ語訳、イタリア語訳が相次いで出されたことから見ても、評価の高さがうかがえる。

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