【チリ・バルパライソ】「大アナゴ」に恋した情熱の詩人
2018年9月14日
チリにいる。南米大陸の太平洋岸に張り付いたような、とんでもなく細長い国、というイメージを日本人は持っているだろう。それからチリ地震津波。1960年に起きた観測史上最大の巨大地震により、地球の裏側から津波が押し寄せ、日本も東北・三陸地方の沿岸部を中心に大きな被害を受けた。
そのチリの中部にバルパライソという港町がある。港町といってもチリ第2の都市で、同国最大の港湾を有する。パナマ運河が開通する前は、太平洋―大西洋航路の立ち寄り地であった。チリで産出される金や銅の積出港となり、大いに栄えた。人が押し寄せ、海に迫った丘陵地にびっしりと民家が立ち並ぶ、異様な景観を呈するようになった。パナマ運河の開通で港としては廃れたが、景観は世界遺産に認められ、観光都市として再出発している。
冷たい海水がもたらす豊かな海鮮料理
港に行くと、乗り合いの観光船がちょうど出発するときだった。3000チリペソ(約510円)を払う。プライベート船に1万チリペソ(約1700円)で乗らないかと誘われたが、みんなと一緒のほうが楽しそうだ。「アミーゴ、ポルフェボール(友よ、お願いします)」と声をかけ合いながら、お互いの写真を撮り合った。短い船旅の途中で水面に現れたアザラシをからかいながら、巨大なミニチュアのように見える丘陵地の奇観を楽しんだ。
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