中東通信を書いていてうれしいこと2

執筆者:池内恵2018年12月6日

先月はひと月のうち23日も海外に出ていた。トルコ・イスタンブル、エジプト・カイロ、米ミシガン州、米テキサス州など。その前はイスタンブル経由でイスラエルのテルアビブやエルサレムに行っていた。

会議に呼んでいただくこともあるが、私の場合は現地調査やなんらかの会議・会合を企画し実施するところまでやることが多いので、どうしてもその間は仕事関係以外は「音信不通」というのに近くなる。しかし本当に読者に伝える必要がある事態が中東に発生した時は、真っ先にこの欄に戻ってくることにしている。

逆に言えば、この欄の更新頻度が低い時は読者の皆さんは「中東にそれほど重要なことがないのだな」と思って、それぞれのことに専念していただきたい。

中東の特定の事象についてむやみにどのメディアも報じ誰もが話している時には、あえてフォーサイトで取り上げる有益性はさほどないと考えており、次のまだ潜在的なところにとどまっている「危機」を見定めている。「ボールに群がる下手なサッカー」をやるつもりはないし、最近はこの「下手なサッカー」をAIという技術やその技術でSNS上で安価・ほぼ無料で動員される群衆が担って日に日に増大する形で行っている。そこに飛び込んで疲弊するのは少額といえども読者から購読料をもらって運営するメディアのやることではない。

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