「変わったヨーロッパ」から退場するメルケル独首相(左)と、「変わったアメリカ」を体現するトランプ米大統領(右)(C)AFP=時事

 

 ヨーロッパは変わった。その変わったヨーロッパに、アンゲラ・メルケル首相は適合できなかった。それがメルケル首相を与党キリスト教民主同盟(CDU)党首退陣に追い込んだ(2018年12月4日「『メルケルの欧州』考:アンゲラ・メルケルとは何者だったのか」)。

 アメリカも変わった。その変わったアメリカが、ヨーロッパに幾多の要求を突きつける。ヨーロッパはそういうアメリカに適合していかなければならない(2018年12月4日「『メルケルの欧州』考:欧州の『守護者』から『変貌』した米国への対処法」)。

 変わったアメリカに関し、『フィナンシャル・タイムズ』の政治コラムニスト、ジャナン・ガネシュ氏は言う。「アメリカの例外主義は終わったのだ」。

「例外的存在」から「同等」へ

 例外主義は、アメリカ人の考え方の基底にある一種の信仰だ。自分たちはあの穢(けが)れたヨーロッパとは違う。神の使命を帯び、新たな理想郷を創りに新大陸にやってきた。ヨーロッパは自己利益のための弱肉強食を繰り返す。我々は、崇高な神の理想をこの地上に実現する。神の理想は普遍だ。だから、それは地上に遍く広められねばならない。この伝道者的使命感が、アメリカ人の思想の根幹にある。

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