採決直前まで必死で訴えるメイ首相だったが……(C)AFP=時事

 

 1月15日夜、英国下院で「英国のEU離脱(BREXIT)」のためのEU(欧州連合)との離脱協定合意案について、承認採決が行われた。結果は、202の支持票に対して否決票が圧倒的に上回って432票となり、厳しい交渉の末に昨年11月にようやく落ち着いたEUとの合意は、実現されないこととなった。

 ジャン=クロード・ユンケル欧州委員会委員長は、この結果を踏まえて「合意なしの離婚だ」と語気を強め、「英国は直ちにその意思を明確にすべきだ」と厳しい調子で語った。

 これによって本年3月30日以後、EUとの間に何ら合意のないBREXITとなる公算が強くなった。

 すでに当欄の拙稿で述べたように、離脱協定合意案の内容は、離脱移行期間の2020年末までの延長、英国の分担金の未払い分支払い、英EU市民のそれぞれのこれまでの市民権の保障などであったが、英国国内でコンセンサスが取れなかったのが、北アイルランドとアイルランドとの国境問題だった(2018年11月21日「『アイルランド国境問題』が影を落とす『BREXIT』の行方」参照)。

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