EUの中でも、一帯一路にまず危機感を強めたのはドイツだった (C)AFP=時事

 

 中国の経済進出はヨーロッパにとり大きな脅威だ。近年、その存在感を一段と強める中国に対し、これに対抗しようとの動きがヨーロッパに出始めた。しかし、中国も負けてはいない。中国が狙うのはヨーロッパの「鎖の弱いところ」だ。ヨーロッパの中には背に腹かえられず、目の前にぶら下げられた人参に手を出すところも出始めた。それも、何とヨーロッパの中核国が、である。さらに悩ましいのは、「人参」が一帯一路だけでないことだ。デジタル覇権がそこに絡んでいる。

危機感を強めた独産業連盟

 ドイツは急速に対中警戒感を強めている(メルケル「3年ぶり来日」で見えた共通課題「経済」「安全保障」 2019 年2月8日 参照)。これまで、中国はドイツ製品のはけ口として大切なお得意様だった。しかし、もはやそうしたのんきなことは言っていられない。中国資金が怒濤のように押し寄せ、下手すればドイツの産業基盤が侵食されかねない。2016年、ドイツの大手ロボットメーカー「クーカ」が、中国の家電企業「美的集団」に約37億ユーロ(約4700億円)で買収された例もある。うかうかしていれば、ドイツは中国の巨大な経済力に飲み込まれてしまう。

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