野望に向けて突き進む「シェル」のベン・ファン・ブールデンCEO(C)AFP=時事

 

 世界の電力業界はどの程度自由化されているのだろうか?

 英蘭大手石油会社「ロイヤル・ダッチ・シェル」(以下シェル)が世界最大の電力会社になることを目指している、という『フィナンシャル・タイムズ』(以下FT)の記事を読んで、筆者は不勉強を思い知っている。

 たとえば日本で「シェル」が大規模の電力事業を行えるのだろうか?

 中国では無理だろうが、インドはどうなのだろうか?

 ただ言えることは、サウジアラビア(以下サウジ)の国営石油「サウジアラムコ」が「シェル」や「エクソンモービル」のような総合エネルギー会社を目指す、と言っている(本欄『サウジアラムコ会長「海外拡大」「IPO実施」発言は例の事件の幕引きか』2019年2月15日参照)ときに、その「シェル」はもう一歩先を行こうとしている、のは間違いがないだろう。

 ただ読みようによっては、「シェル」の業態が現在の、石油65%、ガス25%、石油化学およびその他10%から、2030年代には石油、ガス、電力がそれぞれ30%ずつで、石油化学とその他が10%になるというのだから、依然として「サウジアラムコ」が目指す、国際的「総合エネルギー会社」の範疇に入るとも言える。計画されている石油化学の「サウジ基礎産業公社(SABIC)」の買収のみならず、サウジの国営電力も「サウジアラムコ」の傘下に加えれば、「シェル」に匹敵できる「総合エネルギー企業」に変身できるのではないだろうか? もっとも、それはあまり意味のある合併、巨大化ではないが。

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