にわかに注目を集める「謎のスパイ」フェリクス・セイター氏(米『ABCテレビ』ホームページより)

 

 ドナルド・トランプ米大統領の「ロシア疑惑」を捜査するロバート・モラー特別検察官。いつ捜査を終了し、報告書をウィリアム・バー司法長官に提出するのか。さらに、報告書は公表されるのか。

 大統領の命運を左右する、そんな重大なことさえまだ決まっていない。なのに、気の早い複数の米メディアはすでに、出版の日取りまで決めるほどの注目が集まっている。米国の公文書は公開されれば、誰でも無料で出版できる。

 ただ、捜査終了をめぐって、特別検察官とホワイトハウスの間で「暗闘」の気配がある。「近く捜査終了」の観測は年明け以降、マシュー・ウィテカー元司法長官代行ら、「早期幕引き」を狙うトランプ大統領周辺から出ており、きな臭い対立も想定される。

 それでは、捜査報告書はどんな内容になるのか。そのカギを握る男として、ユダヤ系ロシア人で、現在は米国籍を持つ謎のスパイがひそかに注目されている。

 彼は旧ソ連から出資者を集め、窮地に陥っていたトランプ氏の開発プロジェクトに投資させ、トランプ氏に「成功者」のイメージを焼き付けた功労者であり、他方米情報機関のために秘密工作に従事したスパイでもあった。「ロシア疑惑」における彼の役割は何だったのだろうか。

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