活発な募集活動が、時に物議を醸すことも(イラストが問題となった、自衛隊滋賀地方協力本部が作成した自衛官募集ポスター)(C)時事

 

 前回の拙稿『大災害に備えた非軍事「国家総動員」計画を整備せよ』(2019年4月2日)に対し、読者から様々な意見が寄せられた。拝読し、拙稿の言葉足らず、説明不足の部分もあったため、改めて私見を述べたい。

 自衛官の募集人数は、定員の増減が行われない限り、毎年平均的に推移する。また、募集は「人口の減少・有効求人倍率」といった人口動態の影響を受ける。採用年齢の上限を26歳から32歳に引き上げたのは人口減少対策でもある。「社会が好景気の持続を期待する」のは常であり、その有効求人倍率が自衛官募集に厳しいのは悩ましい現象だ。

予算不足で採用に「待った」

 募集のうち、主として影響を被るのは、自衛官候補生として3カ月の教育訓練を経て、2等陸・海・空士に任命される任期制隊員の募集である。任期制隊員は、陸上自衛隊(以下「陸自」)が2年(一部技術系は3年)、海・空自が3年の初任期を経て、その後の3~4年内に、「定年までの身分が約束される非任期の陸・海・空曹昇任試験」を受け、合格しなければ、自衛隊をやめざるをえない。『2018年防衛白書』によれば、2017年の自衛官候補生採用は3倍(陸海空平均値/小数点以下切り捨て)の競争率であって、数値的には募集難の深刻さはうかがえない。

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