マレーシア国営石油会社が開発したサバ州沖の天然ガスプラットホーム(C)AFP=時事

 

 フォーサイトの「中東通信」「中東の部屋」でもお馴染みの東京大学池内恵教授のご依頼で、2年半前の2016年秋、「戦略研究学会」が一般公開している「エネルギー市場の未来と日本の技術戦略」というシンポジウムでお話ししたことがある。「エネルギーと戦略」について、とのご依頼だったので、ちょうどその年の5月、「G7(主要7カ国・地域)エネルギー大臣会合」において日本政府が「LNG市場戦略」を打ち出していたので、「『LNG市場戦略』は成功するか?」と題して私見を述べさせていただいた。

 LNGとは、液化天然ガス(Liquefied Natural Gas)であることは皆さんご存じの通りだ。

 21年間の海外勤務を含む43年間の商社勤めで、主に原油取引と石油開発事業に従事した経験から、原油市場が1973年のオイルショック以降、どのように変遷、拡大してきたのか、ではLNG取引はどうなるだろうか、というのがお話しした要点だ。

 結論を言えば、市場は市場参加者のニーズに応えるかたちで発展する、ということだ。だから、市場参加者のニーズの裏打ちがない「LNG市場戦略」なるものは実現困難だろう、と申し上げた。

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