このところ外遊を活発化させているムハンマド皇太子。まだ疑惑は晴れていないが……(C)EPA=時事

 

 サウジアラビア(以下サウジ)の国営石油「サウジアラムコ(以下アラムコ)」が史上初の社債を発行し、100億ドルの売り出し予定額に対して1000億ドルほどの申し込みがあった、と報じられた(『フィナンシャル・タイムズ』=以下「FT」=2019年4月10日「Orders for first Saudi Aramco bond smash $100bn」)。最終的には120億ドルの発行となったようだ。

 昨年10月のハーショクジー(カショギ)氏殺害事件以降、サウジを取り巻く投資環境は劇的に悪化し、投資することのリスクのみならず、サウジと強い関係を維持していると見られることへのレピュテーション・リスク(風評リスク)すら危険視されるようになっていた。たとえば、事件直後に開催されたムハンマド・ビン・サルマーン皇太子主催の「砂漠のダボス会議」(未来投資イニシアチブ)には、登壇が予定されていた「ソフトバンク」の孫正義社長や「三菱UFJ銀行」の三毛兼承頭取、あるいは「IMF」(国際通貨基金)のクリスティーヌ・ラガルド専務理事を始め、欧米の数多くの金融界重鎮がレピュテーション・リスクを恐れて欠席した(サウジ「投資会議」敢えて出席したパネラーの注目「発言内容」 2019年10月25日)。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。