図1

 前回、日本の名門大学が内向き志向を強めているという我々の調査結果をご紹介した(若者は旅をせよ! 私が学生に「異郷研修」を勧めるワケ 2019年4月12日)。

 合格者のうち、地元出身者が占める割合は東京大学で約60%、早稲田大学・慶應義塾大学で約80%だった。東京の名門大学を目指して、全国から優秀な学生が集まってきているという訳ではない。東大、早慶いずれも関東地方のローカル大学だ。若者は異文化と出会って成長する。この点で、首都圏の名門大学には問題がある。

 では、今回の調査で地元出身者がもっとも少ない大学はどこだっただろう。それは東北大学と北海道大学だ。合格者に占める東北地方、北海道出身者の割合はいずれも37%だった。6割以上の学生が地元以外の出身だ。

 勿論、これは北海道や東北地方の人口が少ないことも影響している。北海道、東北地方の人口は538万人、898万人だ(2015年国勢調査)。他の旧帝大と比較して、地元の人口が少ないため、地元出身者比率が低くなるのは仕方ない。

 ただ必ずしも、その影響だけで説明出来る訳ではない。北海道大学、東北大学に次いで、地元の人口が少ないのは九州大学だ。2015年国勢調査における九州7県の人口は1302万人である。ところが、九州大学における地元出身者の割合は69%だ。北海道大学と東北大学の地元出身者率が低いことは、人口が少ないことだけでは説明できないのである。

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