医療崩壊 (23)

続・ 私が学生に「異郷研修」を勧めるワケ:「革命」は「地方」から

執筆者:上昌広 2019年5月22日
タグ: 日本
エリア: アジア
図1

 前回、日本の名門大学が内向き志向を強めているという我々の調査結果をご紹介した(若者は旅をせよ! 私が学生に「異郷研修」を勧めるワケ 2019年4月12日)。

 合格者のうち、地元出身者が占める割合は東京大学で約60%、早稲田大学・慶應義塾大学で約80%だった。東京の名門大学を目指して、全国から優秀な学生が集まってきているという訳ではない。東大、早慶いずれも関東地方のローカル大学だ。若者は異文化と出会って成長する。この点で、首都圏の名門大学には問題がある。

 では、今回の調査で地元出身者がもっとも少ない大学はどこだっただろう。それは東北大学と北海道大学だ。合格者に占める東北地方、北海道出身者の割合はいずれも37%だった。6割以上の学生が地元以外の出身だ。

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執筆者プロフィール
上昌広(かみまさひろ) 特定非営利活動法人「医療ガバナンス研究所」理事長。 1968年生まれ、兵庫県出身。東京大学医学部医学科を卒業し、同大学大学院医学系研究科修了。東京都立駒込病院血液内科医員、虎の門病院血液科医員、国立がんセンター中央病院薬物療法部医員として造血器悪性腫瘍の臨床研究に従事し、2016年3月まで東京大学医科学研究所特任教授を務める。内科医(専門は血液・腫瘍内科学)。2005年10月より東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステムを主宰し、医療ガバナンスを研究している。医療関係者など約5万人が購読するメールマガジン「MRIC(医療ガバナンス学会)」の編集長も務め、積極的な情報発信を行っている。『復興は現場から動き出す 』(東洋経済新報社)、『日本の医療 崩壊を招いた構造と再生への提言 』(蕗書房 )、『日本の医療格差は9倍 医師不足の真実』(光文社新書)、『医療詐欺 「先端医療」と「新薬」は、まず疑うのが正しい』(講談社+α新書)、『病院は東京から破綻する 医師が「ゼロ」になる日 』(朝日新聞出版)など著書多数。
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