ボルトンの「情報クッキング」でイラン情勢「一触即発」:トランプ大統領「怒り」の理由とは
2019年5月21日
「クッキング」と言っても、料理のことではない。インテリジェンスの世界では、情報をねじ曲げて利用する工作のことを言う。
米海軍空母や戦略爆撃機のペルシャ湾への派遣が伝えられ、米国とイランの間で「一触即発」の戦闘か、と懸念されるほど緊張が高まる軍事情勢。実は、ドナルド・トランプ米政権の舞台裏で、そんな情報のクッキング工作が進行していた。
ブッシュ(子)政権による2003年3月のイラク戦争開戦前、まさに同じような工作があった。タカ派の現大統領補佐官(国家安全保障問題担当)ジョン・ボルトン氏は当時、軍備管理などを担当する国務次官で、イラクの大量破壊兵器開発を非難する演出に関与した。
当時のコリン・パウエル国務長官が国連安全保障理事会で行った演説が印象的だった。写真や図などのビジュアル情報、イラク関係者の音声まで駆使して、イラクがあたかも大量破壊兵器を開発したかのような印象を与え、結局世界はそんな謀略情報を根拠にしたイラク戦争に巻き込まれた。中東諸国はその後遺症から今も立ち直ることができないでいる。
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