HPV薬害問題も、世界的には「反ワクチン」運動の1つだという (C)時事

 

 麻疹(はしか)の流行が続いている。5月28日、国立感染症研究所は、直近の1週間(5月13〜19日)に届け出があった麻疹患者数は32人だったと報告した。3週続けて増加したことになる。ゴールデンウィーク中に海外旅行をした人たちが持ち帰った可能性が高い。

 麻疹の流行は、我が国に限った話ではない。2000年に根絶されたはずのアメリカでも、今年に入り少なくとも10州で再流行が確認されている。

世界中で盛り上がる「反ワクチン運動」

 なぜ、こんなことが起こるのだろうか? それは、世界中で反ワクチン運動が盛り上がっているからだ。

 反ワクチン運動のきっかけは、1998年に英国のアンドリュー・ウェイクフィールド医師が、MMRワクチン(麻疹、おたふく風邪、風疹の混合ワクチン)が自閉症の発症リスクを高めると報告したことだ。世界でもっとも権威がある英医学誌『ランセット』に掲載されたため、世界中から注目を集めた。イギリス・アメリカ・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドで、ワクチン接種が激減し、麻疹感染が増加した。

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