習近平総書記(左)の「公式訪問」に、金正恩党委員長(右)はじめ北朝鮮は最大級の歓迎でもてなした[KCNA VIA KNS](C)AFP=時事

 

 中国の習近平総書記(国家主席)が、大阪で今月末に行われる20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)の直前である6月20、21の両日、北朝鮮を訪問した。これは胡錦濤総書記が2005年10月に訪朝して以来、中国最高指導者の14年ぶりの訪朝だった(意表突いた「習近平訪朝」は吉か凶か 2019年6月19日)。

 2001年9月の江沢民総書記、2005年10月の胡錦濤総書記の訪問はいずれも2泊3日であったが、今回の訪朝は1泊2日だった。しかし、先の2回の最高指導者の訪朝は「公式親善訪問」とされたが、今回は「国家訪問」(北朝鮮側発表、中国側発表では「国事訪問」)だった。「国家訪問」は日本式に翻訳すれば「国賓訪問」ということであろう。G20サミット前の多忙な日程を縫っての訪問で、時間的な余裕がなく1泊2日の日程に縮めたが、格式を1段階上げることで釣り合いを取ろうとしたのではないかとみられる。北朝鮮の最高指導者のこれまでの訪中も、大半は「非公式訪問」の形を取り、「公式訪問」は1982年9月に金日成(キム・イルソン)主席が訪中したケースぐらいとみられる。中朝両国は短い訪問時間だが、それだけ格式を上げて、この訪問の意味を高めようとしたのだろう。

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