『ニューヨーク・タイムズ』(NYT)は8月3日、米国による「原油禁輸制裁」が本年5月2日に完全に発動された以降も、これまで報道されているよりも多くのイランのタンカーが原油を中国や地中海東部に輸出している、と報じた(「Defying U.S. Sanctions, China and Others Take Oil From 12 Iranian Tankers」)。

 記事冒頭に12隻のタンカーの動静を追える地図画面を用意し、「Replay」ボタンを押すとこれらがいつ、どこにいたのかが分かるようになっていて興味深い。関心のある方はぜひ押してみていただきたい。

 6隻は中国へ行っており、6隻はスエズ運河を通って地中海東部に向かった、後者はおそらくシリアやトルコで荷揚げされたのだろう、との業界専門家のコメントも紹介している。

 6隻が中国で荷揚げしているというが、日本がサウジアラビアやUAE(アラブ首長国連邦)と行っている「産油国共同備蓄」のような仕組みを利用して、イラン原油を中国沿岸のタンクに寄託している可能性(本欄5月8日『米「原油禁輸制裁」対抗でイラン・中国「秘密取引」の可能性』)や、中国が参画した石油開発事業からの「取り分(コスト回収および配分利益)」があることについては、まったく触れていない。

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