直言居士のダン・コーツ氏(写真)が国家情報長官を辞任し、米中インテリジェンス対決は米国に不利に (C)WPA=時事

 

「逃亡犯条例改正案撤回」から広範な民主化へと要求を拡大させる香港のデモと集会、中国が強力に抵抗し前進の兆しが見えない米中貿易戦争。その舞台裏で、米中双方の出方を探るインテリジェンスの争いが激化している。

 ドナルド・トランプ米大統領の最優先課題は専ら来年の大統領選挙での勝利。これに対して中国は、香港でも米中関係でも、心理戦略も取り混ぜ、強硬策で押し通す構えを見せている。

 そんな中、米国の全17インテリジェンス機関を束ねていたダン・コーツ前国家情報長官(DNI、76)が8月15日辞任した。トランプ大統領は適任の後継者も指名できないままで、対中情報戦争は秋に向け、米国側に不利な情勢となっている。

直言した国家情報長官が辞任

 コーツ前長官は24年間にわたり、インディアナ州選出の上下両院議員を務めたベテラン政治家。ジェームズ・マティス前国防長官とともに、共和党エスタブリッシュメントと大統領をつなぐ要として期待されていた。だが、大統領に直言する大物2人が去り、大統領に従うだけの忠実な閣僚ばかりが残った。

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