Facebookが計画する仮想通貨「リブラ」は、価値が安定した「ステイブルコイン」になって、広く使われる決済手段になることを目指している。これは、インフレに悩む国の国民には、大きな福音だ。

 しかし、中央銀行や政府にとっては重大な危機だ。中国にとって大きな問題になる可能性があるし、日本も例外ではありえない。

決済手段となるには、ステイブルコインである必要

 ブロックチェーンで運営される仮想通貨は、さまざまな点で電子マネーより優れている。

 最初の仮想通貨は、2009年に登場したビットコインだ。ビットコインは新しいマネーになると期待された。しかし、そうはならなかった。

 それは、投機の対象となって、2017年に価格が高騰したからだ。送金手数料もそれにつれて上昇し、一時は銀行のATM送金手数料より高くなってしまった。このため、決済・送金用に使うのは難しくなった。

 決済手段となるには、価値を安定化させる必要がある。

 こうした仮想通貨は、「ステイブルコイン」と呼ばれる。これまでさまざまな試みがなされてきたが、満足できるものはいまだに存在しない。

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