新・マネーの魔術史:未来篇 (3)

「政府」「中央銀行」への本質的な「リブラの脅威」

執筆者:野口悠紀雄 2019年10月3日
タグ: 日銀 中国 日本
エリア: 北米 中南米 アジア

 

 Facebookが計画する仮想通貨「リブラ」は、価値が安定した「ステイブルコイン」になって、広く使われる決済手段になることを目指している。これは、インフレに悩む国の国民には、大きな福音だ。

 しかし、中央銀行や政府にとっては重大な危機だ。中国にとって大きな問題になる可能性があるし、日本も例外ではありえない。

決済手段となるには、ステイブルコインである必要

 ブロックチェーンで運営される仮想通貨は、さまざまな点で電子マネーより優れている。

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執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
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