関西電力の会長辞任が決まり記者会見する八木誠氏(左)。右の岩根茂樹社長は「第三者委員会」の調査後に辞任するというのだが、果たしてそのもくろみは…… (C)時事

 

 関西電力の役員らが原子力発電所のある福井県高浜町の森山栄治・元助役(故人)から多額の金品を受け取っていた問題で、八木誠会長が10月9日に辞任した。10月2日に開いた記者会見では「今回の件を厳粛に受け止め、すべての膿を出し切るため、原因究明と再発防止対策を進めることが最大の責務」だとして辞任しない意向を示していたが、わずか1週間で辞任に追い込まれた。

 この点を記者につかれると、「様々な批判を耳にし、目にして、責任の重さを改めて痛感した」と説明していた。50万円相当の背広仕立て券を、当初は「儀礼の範囲内」とするなど関西電力トップの「非常識ぶり」には開いた口がふさがらないが、会長を辞任しなくても乗り切れると「判断」していたこと自体、経営者としての常識の欠如を物語っていた。

 もっとも、今回のトップ辞任劇は関西電力のコーポレートガバナンスが機能した結果ではない。10月9日には臨時の取締役会が開かれたが、例えば、その場で社外取締役らが会長・社長に辞任を迫ったのでも、取締役会が会長・社長に退席を求めて議論し、「解任」したわけでもなかった。前回の拙稿(「ガバナンス」欠如の関電「社外取締役」は経営陣のクビを切れるか 2019年10月3日)でも指摘したように、関西電力の社外取締役は関西経済界の「お仲間」が主体で、とうてい経営陣に厳しい対応など迫れるはずはない。本人たちが遅まきながら「決断」した辞任を「追認」しただけに過ぎないのだ。

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