容易ではない仮想通貨「リブラ」の「価格安定化」

執筆者:野口悠紀雄2019年10月24日

 

 仮想通貨リブラは、価格変動があまりない通貨になることを目指している。すなわち、ドルやユーロ、円などの主要通貨のバスケットに連動するとしている。

 仮想通貨が実際の決済や送金に使われるようになるためには、このように価格を安定化することが必要だ。

 価格が安定した仮想通貨は、「ステイブルコイン」と呼ばれる。

 ビットコインは、価格が変動する仕組みになっているために、投機によって価格が暴騰し、その後下落した。この結果、決済や送金には使いにくい。

 リブラが注目されている大きな理由は、ステイブルコインになりうることだ。

価格安定化のために必要とされる条件

 ただし、ステイブルコインの実現は、簡単なことではない。

 いくつかの仮想通貨がステイブルコインだと称しているが、その実態には様々な問題がある。

 では、リブラはどのようにして価格安定を実現しようとしているのか?

 これについては、リブラのホワイトペーパーに具体的な記述がないので、はっきりしたことはわからない。

 ホワイトペーパーで述べているのは、発行量と同額の準備資産を保有するということである。

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