テイラー駐ウクライナ臨時代理大使(中央)による、10月22日の下院での証言は衝撃的だった (C)EPA=時事

 

 ナンシー・ペロシ米下院議長(79、民主党)が、ドナルド・トランプ大統領(73)に対する弾劾訴追をめぐって調査を開始すると発表してから、約1カ月経った。

 ロシア疑惑では弾劾に消極的だったペロシ議長。だが、新たなウクライナ疑惑で、断固として大統領弾劾の手続きを開始した。その裏に、法律に従って内部告発した米中央情報局(CIA)の要員による素早い捜査があった。彼はホワイトハウスへの出向経験があり、エリート官僚なのだ。

 大統領側近の1人、スティーブン・ミラー補佐官は「ディープステートの工作員」の仕業だと断言して非難。以前から自分を狙う政府職員らのことを「ディープステート」と呼び、敵視してきた大統領は「反逆者」と罵った。

 この内部告発は1人では準備できなかった。告発者本人は「4カ月にわたって6人以上の米政府職員から、公職上の任務の一環として情報を得てきた」と告発状の中で明らかにしている。情報機関員を含むキャリア職員のネットワークが大統領を監視してきた実態が浮上した。

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