「多重意思決定」が破綻に追い込む「JDI」元経営陣の告白
2019年10月28日
「日の丸液晶メーカー」ジャパンディスプレイ(JDI)が資金難に喘いでいる。今年4月に発表した増資計画は二転三転。9月には最終契約を結んでいた中国の大手投資会社、嘉実基金管理が離脱を表明し、残るは最大の顧客である米アップルと香港の投資ファンド、オアシス・マネジメント・カンパニーのみになった。9月末に就任した菊岡稔社長は「11月末までに500億円を確保する」としているが、失敗すれば法的整理の恐れもある。
JDIはなぜ、ここまで窮地に追い込まれたのか。元経営陣の1人は「設立当初から運営に無理があった」と語り、経済産業省、産業革新機構(INCJ)主導の「ゾンビ企業救済」を批判した(『「ゴーン改革」と好対照「ルネサス」「JDI」再建失敗「経産省」の大罪』 2019年5月21日 参照)。
工場をつくれと言ったのは「アップル」
――JDIが経営破綻の瀬戸際です。11月末に500億円は調達できますか。
「JDIの苦境の最大の原因は約1700億円をかけて白山工場(石川県)を建ててしまったこと。建てろと背中を押したのはアップルです。アップルは約1000億円の前受金を払っていて、その回収もあるので、2億ドルまでは出すと言っている。500億円には届かないかもしれないが、200~300億円は可能でしょう。
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