中央銀行が仮想通貨を発行すると世の中が変わる

執筆者:野口悠紀雄2019年11月7日

 

 西側諸国の中央銀行も、独自の仮想通貨を発行する研究を熱心に進めている。

 イングランド銀行は、早くから仮想通貨の発行を検討していたが、2016年には、ロンドン大学の研究者が、イングランド銀行が利用することを想定した「RSCoin」を開発したと発表した。

 スウェーデンのリクスバンクも、デジタル通貨について検討するプロジェクトを立ち上げている。この背景には、スウェーデンで流通している紙幣と貨幣が著しく減少しており、中央銀行もこの変化に応じてデジタル通貨を検討しなければならなくなったという事情がある。

 オランダの中央銀行もブロックチェーンを用いた暗号通貨である「DNBcoin」の開発に取り組んでいると報道されている。カナダは、「CAD-Coin」という名のコインを発行するとした。アジアでも、韓国、シンガポールの中央銀行が取り組んでいる。

なぜ中央銀行が仮想通貨を発行するのか?

 中央銀行が仮想通貨を発行しようとする第1の理由は、防衛的なもの、つまり、ビットコインなどの仮想通貨が広く使われるようになれば、中央銀行が必要なくなってしまうということになるからだ。

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