ビットコインは、1つの論文で始まった。

 2008年に公表されたBitcoin : A Peer-to-Peer Electronic Cash Systemという論文だ。

 これは、わずか9ページの論文である。

 著者は、サトシ・ナカモト。いまだに誰だか分からない。

 この論文の後半はかなり面倒な計算だが、前半は深い専門知識がなくても読むことができる(ただし、あまり分かりやすくはない)。

二重払いできない電子マネーをどう作るか?

 この論文の目的は、「電子マネーではないインターネット上の通貨」をどのように作るかだ。

 この論文では、それを「P2P電子マネー」と呼んでいる。これは、金融機関を介さず、利用者が直接のオンライン取引で送金できる通貨だ。

 P2Pとは、サーバー(中央のコンピュータ)が存在せず、個々のコンピュータが対等の立場で直接に連絡しあうネットワークである。共通のプログラムによって、データの管理を行っている。P2Pに参加するコンピュータは、「ノード」と呼ばれる。

 ここでの課題は、インターネット上の通貨について、二重払いをどう防止できるかだ。

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