ドーハで感じる中国の存在感の静かな高まり

執筆者:池内恵2019年11月13日

国際会議のためにカタールのドーハに来ている。先週はモスクワ出張で、帰国した直後に今度はドーハに向かった。

カタール政府(首長府)は「ドーハ・フォーラム」をはじめとした国際会議をスポンサーして、各国から関係者を集めて毎年いくつもの国際会議を開く。そういった招待状が、日・カタールの大使館であったり、あるいはカタール政府が提携して実質上会議を運営する米国等の主催団体との関係で、舞い込むと、都合がつく時は出席する。

カタール政府肝入りで多大な資金を注入したこういった国際会議や、誘致した欧米の大学・シンクタンクで開催される研究大会やシンポジウムは、2022年開催のFIFA・W杯を頂点にした、相次ぐ国際スポーツ大会の誘致・開催と共に、カタールの外交・安全保障政策の柱になっている。

カタールは、近隣のUAEドバイやUAEアブダビと同様に、人口の大部分を外国人労働者が占める特殊な国である。

諸説あるが現在の人口は300万人弱、そのうち33.3万人がカタール国籍であるというかなりいい加減な(失礼)数字がカタール政府から示されている。エジプトなど他のアラブ諸国からの出稼ぎ労働者を加えても、アラブ人人口は全体の2割程度であり、目立つのはインドなど南アジアからの労働者である。インド・ネパール・バングラデシュ・スリランカ・パキスタンからの労働者を合わせると、人口の55%ほどが南アジア系ということになる。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。