ここで次々とアイデアが生まれる(シリコンバレーのオフィスにて。筆者提供)
 

 前回「第2回」(2019年1月9日『朽ちる水道管』)で、日本で水道施設のデータを整備している、すなわち台帳管理をしている自治体が、全体の61%にしか満たないことを見てきた。残りの4割の自治体の多くは、中小規模の水道局であるという事実がある。

 この背景を考えてみたい。

 これはアメリカでも同じことだが、こと上水道に関連する施設運営に関しては、行政は中央集権的で大きな予算を持たず、地方行政を指導するのみという立場を貫いている。

 ドナルド・トランプ米大統領も、大統領選で上水道などインフラの再生を選挙公約として掲げたが、就任後も50州にまたがる「連邦レベル」での予算が十分に取れず、結果として「州レベル」「市レベル」に連邦から改善を要請するに留まっている。

 同様に、日本の中央行政レベルでは厚生労働省が上水道の所管ということになっているが、実際の水道局運営(予算の策定、水道料金の徴収、上水道配管や貯水池といった施設の管理・運営に対する資金の使用など)は、全国の1381事業体という形で、各々の水道局が担っている(前回も触れたが、たとえばイギリスの水道事業は約30年前にすべて民営化され、水道会社はイギリス全体で18社のみだ)。

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