いったんブロックチェーンに書き込んだデータは書き換えられない。これは、実に大きな意味を持つ。

文書の存在証明

 とくに重要なのは、「過去のある時点において、あるデータ(文書)が存在した」と証明できることだ。これは、「プルーフ・オブ・イグジステンス」(存在証明)と呼ばれる。

 例えば、Aさんが遺言書を書き残して死亡したとしよう。

 相続人たちが集まったが、この遺言書が本当にAさんが書いたものかどうかが問題となった。これをどう解決したらよいか?

 いまの社会では、そのために、公証人という制度が作られている。

 Aさんは遺言書を作成し、それを公証人役場に持っていく。すると、公証人がこの遺言書は確かにその時点においてAさんが作成したものであると証明してくれる。

 このような証明があれば、「Aさんが亡くなった後に開封された遺言書は正しいものであり、書き換えられていない」ということが保証されるわけだ。

 ところが、ブロックチェーンがあれば、これと同じ証明が、いとも簡単にできる。遺言書(あるいは、そのハッシュ)を、ブロックチェーンに書き込んでおけばよいのだ。

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