新・マネーの魔術史:未来篇 (11)

ブロックチェーンはデータの存在証明に力を発揮する

執筆者:野口悠紀雄 2019年11月28日
タグ: 日本

 

 いったんブロックチェーンに書き込んだデータは書き換えられない。これは、実に大きな意味を持つ。

文書の存在証明

 とくに重要なのは、「過去のある時点において、あるデータ(文書)が存在した」と証明できることだ。これは、「プルーフ・オブ・イグジステンス」(存在証明)と呼ばれる。

 例えば、Aさんが遺言書を書き残して死亡したとしよう。

 相続人たちが集まったが、この遺言書が本当にAさんが書いたものかどうかが問題となった。これをどう解決したらよいか?

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執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
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