10月10日に行われたアイルランド首相レオ・ヴァラッカーとボリス・ジョンソン英首相の会談。緑の並木道を2人が並んで談笑しながら歩く写真は、いかにも演出過多の光景に見えた (C)AFP=時事

 

 歴史の中では時に、行き詰まった状況が一気に動き出し、周囲の風景が急変する。それほど大げさなことでもないだろうが、10月のEU(欧州連合)離脱合意から12月の総選挙に向けて英国政治がたどった軌跡は、やはり変動の時期到来を思わせるものだった。

パフォーマンス過多の首相

 本欄の前稿『似非「ポピュリスト」ジョンソンが導いた「ブレグジット」さらなる迷走』(2019年10月2日)でブレグジットを巡る英国の姿を報告したのは、10月2日だった。その時点での状況は、ざっと以下の通りである。

▼ジョンソン政権はポピュリズム的な手法で議会の動きを封じ込め、一気に離脱に突き進もうとしたが、議会側からの逆襲を前に頓挫。信頼を大きく損なった。

▼そうこうする間にも、離脱期限の10月31日は刻々と迫る。ジョンソン政権は期限の再延期を拒否しており、かといってEUとの合意の見通しは全く立たず、「合意なき離脱」への恐れが漂い始めた。

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