迷走混迷「ブレグジット」総選挙までの「水面下」ドキュメント(上)

10月10日に行われたアイルランド首相レオ・ヴァラッカーとボリス・ジョンソン英首相の会談。緑の並木道を2人が並んで談笑しながら歩く写真は、いかにも演出過多の光景に見えた (C)AFP=時事

 

 歴史の中では時に、行き詰まった状況が一気に動き出し、周囲の風景が急変する。それほど大げさなことでもないだろうが、10月のEU(欧州連合)離脱合意から12月の総選挙に向けて英国政治がたどった軌跡は、やはり変動の時期到来を思わせるものだった。

パフォーマンス過多の首相

 本欄の前稿『似非「ポピュリスト」ジョンソンが導いた「ブレグジット」さらなる迷走』(2019年10月2日)でブレグジットを巡る英国の姿を報告したのは、10月2日だった。その時点での状況は、ざっと以下の通りである。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
国末憲人(くにすえのりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授、本誌特別編集委員 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長、朝日新聞ヨーロッパ総局長などを歴任した。2024年1月より現職。著書に『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『イラク戦争の深淵』『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)など多数。
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