「選挙分析の教祖」と呼ばれるストラスクライド大学のジョン・カーティス教授(筆者提供)

 

 英総選挙の投開票が今月12日に迫った。保守党が勝てばEU(欧州連合)離脱に突き進み、労働党が躍進すればその流れが変わる。英国にとって、また欧州にとって、岐路となる日である。

 その終盤情勢を探ってみた。下馬評通り、保守党の優位は変わらない。2年前の総選挙ではそう言われつつ最後になって労働党が巻き返したが、今回はどうだろうか。

すべては交渉次第

 英総選挙は、完全小選挙区で650の議席を争う。議会への出席を拒む勢力があるので、320~322議席前後を取れば事実上の過半数になり、ほぼ安定した政権を運営できるとみられる。

 前稿『迷走混迷「ブレグジット」総選挙までの「水面下」ドキュメント(下)』(2019年12月4日)で述べた通り、現政権与党の保守党は選挙戦を優位に進めているが、連立する相手が見当たらないことから、単独で過半数を占める必要がある。一方、野党第1党の労働党は状況次第で多様な連立の枠組みが可能だが、すべては交渉次第であり、勝利した場合には混乱も予想される。

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