ドーハ・フォーラムの見どころ

執筆者:池内恵2019年12月21日

先月に続き、カタールのドーハを訪問した。

毎月のようにカタールに行くというのは多い気もするが、カタールが国際政治・安全保障上の戦略として力を入れる、「国際会議」「国際スポーツ大会」は、ドーハだけでなくロンドンやイスタンブールなどにも投資して支援し拠点形成とネットワーク形成を進める「メディア」「シンクタンク・財団」と共に国際競争力のある、水準の高いものであり、誘いがあると可能な限り出向くことになる。

今回の主要な目的はドーハ・フォーラム2019への参加だった。こういった国際会議は、誤解されがちだが、必ずしも壇上で有力者がどれだけ重要なことを話したかは重要ではない(重要なこともあるが)。情勢次第・文脈次第でどこが重要なのかは異なるが、サウジとUAE・バーレーン(及びエジプト)から、2017年6月以来、禁輸措置・封鎖を受けている現在のカタールの会議の場合は、「誰が、どこの国が、どこの組織が人をよこすか、名前を出して共催するか」に最も注目が集まる。

その意味では、今回のドーハ・フォーラムはカタールの「圧勝」と言っていい。チャタム・ハウス(英王立国際問題研究所)やミュンヘン安全保障会議などが共催に名を連ね、実際に著名なメンバーを寄越し、堂々とパネルを開催している。インターナショナル・クライシス・グループ、ブルッキングス研究所(これはカタールの資金を大規模に受けている)、ウィルソン・センター、ランド研究所、ECFRなどの、米・英・欧州の主要なシンクタンクも軒並み共催に名を連ねて実際に人員を出している。

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