アルチル氏の家族写真。ニノ夫人は、ジョージア出身で角界で活躍する臥牙丸の親戚とか (C) Keiko & Maika 

 

 前回は、醸造家ジョン・ワーデマンの講演をもとに、ジョージア・ナチュラル・ワイン復活の鍵となった「クヴェヴリ」について触れた。

 今回は、あるワイン農家のクヴェヴリの歴史について取り上げてみたい。西ジョージアの作り手として名高いアルチル・グニアヴァ氏である。クヴェヴリが財産として代々継承される伝統的なワイン農家の「誇り」を、彼は教えてくれる。

 ちなみに冒頭の写真は、ジョンが講演で紹介したアルチル氏のスライド写真である。フランスを拠点に活躍する日本人写真家ユニット「Keiko & Maika」が撮影したもので、彼女たちの活躍については前回も触れた。素晴らしい写真の数々は『グヴィノ アジアが世界をのんだ 』 にもふんだんに収められている。

脚光を浴びる伝統的なワイン農家

 8000年の歴史を誇るジョージア・ワインであるが、20世紀の後半、ソ連による工業化政策と社会の近代化の中で、クヴェヴリワインは一度ほとんど廃れてしまった。そして、21世紀に入ってから、新たな国造りの中で伝統的な価値が見つめ直され、何より本当に美味しいワインを自らの手で醸造しようとするソリコ・ツァイシュヴィリやラマズ・ニコラゼらの手によって甦った。ソリコが立ち上げた「アワワイン」は、クヴェヴリワインの代名詞とも言える。

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