ロシアメディアが報じた、“CIAのスパイ”スモレンコフ氏とされる写真。その行方は杳として知れない(ロシアのニュースサイト「MKRU」HPより)

 西側情報機関の最重要ターゲットは恐らく、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領だろう。

「プーチンが最も危険」と警告するのは、北大西洋条約機構(NATO)の欧州連合軍最高司令官(SACEUR)などを歴任したジェームズ・スタブライディス退役米海軍大将だ。

 年明け早々から憲法改正、内閣総辞職と自ら「政変劇」を演じたプーチン大統領。経済が不調で、人気のないドミトリー・メドベージェフ首相に責任を取らせて更迭、自分は2024年の大統領任期終了後も「終身独裁者」として君臨する地歩を固めたのである。

「プーチンの脅威」は自由主義世界に拡大している。2018年、シベリアの中露国境で行った中露合同軍事演習は冷戦後最大規模で、両国はさらに準同盟的関係を強化し、イランや北朝鮮を利用して中東や東アジア情勢を揺さぶる戦略とみられる。

 プーチン大統領が4年前、秘密工作を駆使してドナルド・トランプ米大統領の当選や英国の欧州連合(EU)離脱票決を背後から演出したことは本欄で何度も伝えてきた。

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