連載「中東 危機の震源を読む」に久しぶりに論考(中東―危機の震源を読む (96)
年末年始・中東のもう1つの騒動:東地中海ガス田をめぐるトルコとイスラエルの虚実皮膜」
)を寄稿した。今後は大きなテーマについてのまとまりのある論考は連載「中東 危機の震源を読む」に、日々の観察メモは「中東の部屋」に、そしてちょっとしたヒントになる情報、中東情勢の見方や枠組みをめぐるバックグラウンドの情報などを、この「中東通信」に「つぶやいて」いくことにする。

さて、本日寄稿した論考の補足として、いくつか記事を紹介したい。東地中海のガス田開発の主導権をめぐって、あるいはそれ以外の様々で、鍔迫り合いを繰り広げるトルコとイスラエルだが、メディア上でのさや当てが続く。

1月2日のイスラエル主導でギリシア・キプロスと合意したEastMedパイプライン構想について、トルコの国営放送TRTの国際放送英語版TRT Worldのウェブサイトは、"Israel’s Mediterranean pipe dream(イスラエルの地中海の夢物語)" と題した辛辣な論評を載せ、パイプライン構想を実現不可能と断じている。トルコの国営『アナドル通信』は11月27日調印のトルコ・リビアの海上国境をめぐる覚書で、両国で地中海を横断する排他的経済水域を主張したことをgame changerと寿ぐなど("Turkish-Libyan maritime pact a game changer in E.Med," Anadolu Agency, December 12, 2019) 、概してトルコの国営メディアはこの問題について翼賛的であり、中立的な分析とは言い難いが、雰囲気はよく伝わる文章である。

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