「ビスカラ大統領VS.議会」の構図は続く(C) AFP=時事

 

 ペルーで1月26日、大統領の議会解散に伴う議会選挙が現行憲法下で初めて行われた。

 マルティン・ビスカラ大統領による昨年9月30日の電撃的な議会解散は、「同一政権下で内閣不信任決議が2度可決された場合に議会を解散できる」とする憲法134条の規定に対し、解釈上の疑義を根底から挟むものであった。

 しかし、汚職撲滅を掲げて世論を味方にした大統領の「賭け」にも等しいこの決断は、軍の支持を得て、混乱もなく選挙プロセスが進められてきた。 

 今回、一院制の新議会を構成する130名の議員が新たに選出され、立法権が回復したことで、ペルーの政治危機はひとまず収束を迎える(議会解散に至る背景と政治危機については、2019年10月9日『「政変」勃発ペルー「大統領VS.フジモリ派」の行き着く先』を参照されたい)。

 経済後退や社会格差、政治不信等を背景に、健全なマクロ経済運営を誇ってきたチリやコロンビアなどの南米諸国でも、昨年末から激しい反政府抗議行動にみまわれた。

 その中で解散による政治危機に直面したペルーは、逆説的だが、安定を維持してきた。それは、汚職にまみれた政治家は「皆出ていけ!」と叫ぶ世論を追い風に議会が解散され、選挙戦が繰り広げられる中で、市民の不満がガス抜きされたためと言えるだろう。

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