野党「フジモリ派」惨敗でも前途多難の「ペルー」政治改革

執筆者:遅野井茂雄 2020年2月10日
カテゴリ: 政治
エリア: 中南米
「ビスカラ大統領VS.議会」の構図は続く(C) AFP=時事

 

 ペルーで1月26日、大統領の議会解散に伴う議会選挙が現行憲法下で初めて行われた。

 マルティン・ビスカラ大統領による昨年9月30日の電撃的な議会解散は、「同一政権下で内閣不信任決議が2度可決された場合に議会を解散できる」とする憲法134条の規定に対し、解釈上の疑義を根底から挟むものであった。

 しかし、汚職撲滅を掲げて世論を味方にした大統領の「賭け」にも等しいこの決断は、軍の支持を得て、混乱もなく選挙プロセスが進められてきた。 

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執筆者プロフィール
遅野井茂雄(おそのいしげお) 筑波大学名誉教授。1952年松本市生れ。東京外国語大学卒。筑波大学大学院修士課程修了後、アジア経済研究所入所。ペルー問題研究所客員研究員、在ペルー日本国大使館1等書記官、アジア経済研究所主任調査研究員、南山大学教授を経て、2003年より筑波大学大学院教授、人文社会系長、2018年4月より現職。専門はラテンアメリカ政治・国際関係。主著に『試練のフジモリ大統領―現代ペルー危機をどう捉えるか』(日本放送出版協会、共著)、『現代ペルーとフジモリ政権 (アジアを見る眼)』(アジア経済研究所)、『ラテンアメリカ世界を生きる』(新評論、共著)、『21世紀ラテンアメリカの左派政権:虚像と実像』(アジア経済研究所、編著)、『現代アンデス諸国の政治変動』(明石書店、共著)など。
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