2017年「ビットコイン」分裂

執筆者:野口悠紀雄2020年2月13日
リブラ公式HPより

 

 2017年の夏に、ビットコインの仕様改善を巡って複数の提案が対立した。この背景には、関係者間の利害対立があった。7月に調整ができたと思われたのだが、8月に新しいビットコインが誕生した。

ソフトフォークで仕様変更ができる場合

 ビットコインの仕様を変更しようとする場合、どんなことになるか?

 まず、関係者の合意が成立して新しい仕様に変更する場合には、当然のことながら、問題は起こらない。

 合意がえられない場合には、どうなるか? この場合には、複数の仕様のビットコインができてしまう可能性がある。

 例えば、「Segwit」というシグナルをつけた仕様のビットコインと、つけない仕様のビットコインができる。

 あるいは、ブロックサイズが1メガバイトのものと2メガバイトのものができてしまう。

 こうした場合に、どうなるだろうか?

 これは、変更しようとする仕様の中身によって異なる。

 合意がなくても、あまり大きな問題が生じないような仕様変更もある。

 Segwitがその例だ。アップグレードしていないマイナー(ノード)は、旧バージョンのブロックと新しいバージョンのブロックを、どちらも有効として認めることができるからだ。

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