複雑な「送金・決済」の仕組み

執筆者:野口悠紀雄2020年2月21日
リブラ公式HPより
 

 デジタル通貨の発行に向けての動きが加速化している。

 これを理解するには、まず、現在の送金・決済の仕組みがどうなっているかを理解する必要がある。以下では、「全銀システム」と「日銀ネット」について説明する。

現金を輸送せずに、支払いと決済を行うには

 中央銀行が発行する仮想通貨(CBDC)について、日本銀行やイングランド銀行(BoE)を含む6の中央銀行と国際決済銀行(BIS)が共同研究を始める。

 2月14日には、自民党のルール形成戦略議員連盟(甘利明会長)がデジタル通貨の発行準備を促す提言を提出した。CBDC実現への取り組みが、いよいよ具体化し始めた。

 仮にそうなった場合、現在の仕組みから何がどのように変わるのだろうか?

 これを理解するためには、まず、現在の仕組みを知っておく必要がある。

 送金・決済の仕組みは分かりにくい。そこで、つぎのような例を用いて説明しよう。

 いま、aさんがbさんに1万円を支払う必要があるものとしよう。

 いちばん分かり易いのは、2人が対面して、aさんがbさんに1万円札を渡すことだ。この方法は、いまでも商店の店頭などで日常的に行われている。

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