複雑なアメリカの決済システム

執筆者:野口悠紀雄2020年2月27日
リブラ公式HPより

 

 アメリカには、FRBが運営する決済システムFedwireと、民間の組織であるTCHが運営する決済システムCHIPSがある。TCHは新システムRTPを導入した。FRBはFedNowを2024年に導入する。

FRBの決済システムFedwire

 アメリカのシステムは複雑だ。

 まず、FRB(連邦準備銀行)が運営するシステムとして、Fedwireがある。

 アメリカの金融機関は、属する地区のFRBの本支店に当座預金口座(Federal Reserve Account)を持っている。Fedwireは、その口座間の振替で決済を行う銀行間資金決済システムだ。これは、即時グロス決済(RTGS)システムだ。

 このシステムは、日本の「日銀ネット」に対応するものと考えることができる。

 FRB当座預金の資金は、「フェデラルファンド」と呼ばれる。金融政策のニュースでよく出てくる「フェデラルファンドレート」は、資金が不足している銀行が、余剰の出ている銀行から無担保で資金を借りるときに適用される金利のことだ。

 Fedwire では、主としてアメリカ国内での資金取引の決済が行われている。ここでは、銀行間 の「インターバンク決済」と、銀行が顧客のために行う「対顧客決済」の 両方が行われる。

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