中央銀行「デジタル通貨発行」なら銀行「不要」

執筆者:野口悠紀雄2020年3月12日
リブラ公式HPより
 

 中央銀行デジタル通貨(CBDC)を小口専用にすれば、大きな変化は起きない。しかし外国のCBDCを使える可能性を考えると、そうできない可能性が高い。すると、すべての送金がCBDCで行われることとなり、銀行預金がいらなくなる。

CBDCは小口専用になるのか?

 中央銀行がデジタル通貨(CBDC)を発行するとき、利用可能な範囲をどう設定するのだろうか?

 つぎの2つのケースが考えられる。

(1)小口専用

 CBDCの送金額には限度額を設け、小口専用とする。

 例えばスウェーデンの場合、現在使われている「swish」という電子マネーは、1回の送金額の限度が28万円だ。

 これと同様に、CBDCについて1回の送金額に限度を附すことが考えられる。あるいは、保有に限度額を設ける。

 この場合は、個人はCBDCを用いる。しかし、企業の多額の決済には使えないので、このためには、従来通り銀行預金の口座振替が用いられるだろう。

(2)限度額なし

 CBDCの利用額に限度額を設けない場合には、企業間の決済もCBDCに移行する。

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