日本にはこのような民間のほかに「国家」として追加備蓄できる余地がない(JX喜入石油基地HP
 

 ドナルド・トランプ大統領に主義・主張、思想・信条・信念、あるいは哲学などが欠如していると筆者が見ていることは、これまで何度も表白してきたことだ。

 新型コロナウイルス対策の一環として、シェール業者を支援すべく「戦略石油備蓄」(SPR)用に国産原油を買い上げる方針を打ち出した(後述する『フィナンシャル・タイムズ』=FT記事参照)と聞いて「やっぱり」と、肩を落としている。こんな大統領でも米国民は支持し続けるのだろうか、と。

 筆者は本欄『米国「戦略石油備蓄」一部放出は原油価格に影響ありやなしや』(2018年8月23日)の中で、トランプ大統領が7億2700万バレルある「SPR」の約半分、3億4400万バレルを10年かけて売却し、165億ドルを得て国家財政の足しにする、という法案を承認したことの根本的誤りは、米国の原油埋蔵量は未来永劫、たっぷりあり、需要を十分に満たす生産を維持できるから、「不足」を心配する必要はないと信じている(ように見える)点にある、と指摘した。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。