敵の敵は味方、と思ったらやはり敵だった、という「三すくみ状態」(C)EPA=時事
 

 読者の皆さんは「メキシカン・スタンドオフ」(three way Mexican stand-off)という英語の語句をご存じだろうか?

 恥ずかしながら、商社マンとして英語圏に13年間も勤務していたのに、筆者は知らなかった。

 調べてみたら、おおよそ「三者が互いに拳銃を向け合ったままにらみ合い、自分が引き金を引くと自分も打たれてしまう、だからと言って自分が拳銃を引き下げると打たれてしまうという、3人が3人とも動けない膠着状態、いわば『三すくみ状態』にあること」を意味するようだ。

 ロシアが「OPEC(石油輸出国機構)プラス」を崩壊させ、怒ったサウジアラビア(サウジ)が大増産して安値販売に打って出て「価格戦争」を勃発させ、受け身の米シェール産業が立ちすくんでいる様を『フィナンシャル・タイムズ』(FT)はこう表現している。

 だが「三すくみ状態」が継続したら、次に何が起こるのだろうか?

 筆者は、本欄『初決算「サウジアラムコ」の「設備投資削減」でも「生産能力増」は実現可能か』(2020年3月17日)の中で、「国際戦略研究所」シニア・フェロー、ピエール・ノエルのオピニオン記事を紹介した。

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