「私は戦時大統領だ」と胸を張ってはみたものの、その実は……(C)AFP=時事

 

 米国は、感染者が短期間に4万人を超え、中国、イタリアに次ぐ世界3位に急増したが、死者は1%強と死亡率が低い。「新型コロナウイルス」対策の初動が遅れ、証券市場もパニックに陥ったが、医療崩壊阻止に懸命になっている様子がうかがえる。

 では、きわめて重要な初期対応はどうなっていたのか。実は、ドナルド・トランプ政権の対応に、信じられない失態があったのだ。

受け手がいなかったCDCの情報

 日本の感染症専門家もうらやむ米国の疾病対策センター(CDC)。第2次世界大戦中の「国防マラリア対策活動局」などがその起源だ。戦後発展を続け、厚生省傘下の組織となって、現在は職員1万人以上、年間予算は1兆円を超える。本部はジョージア州アトランタに置かれている。

 その中枢神経にあたる組織が「感染症情報局(EIS)」という部門だ。情報コミュニティには所属していないが、情報機関の機能を持つ。朝鮮戦争中に、生物兵器への脅威に対応するため設立されたこの機関。1951年以来、他にもポリオから天然痘、エボラ出血熱に至るまでさまざまな感染症対策に当たってきた。

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